

給料が払われない。
この瞬間にいちばん怖いのは、怒りよりも「どう動けばいいか分からない」ことです。
未払いは、気持ちの問題ではなく手順の問題。順番を間違えると、証拠が消えたり、交渉が泥沼になったりします。
この記事の結論
未払い賃金は、退職前と退職後で最適行動が変わる。
退職前は「証拠を固めて、支払い合意を作る」。退職後は「期日を切って、記録で詰める」。
どちらも共通して①証拠 → ②請求(文章) → ③期限 → ④次の手の順で進める。
「未払い」と言っても種類が違います。種類が違うと、集める証拠も変わります。
| よくある未払い | 例 | 最初に見るもの |
|---|---|---|
| 給料そのものが入っていない | 振込がない/遅れている | 就業規則の支払日、過去の入金履歴 |
| 一部がカットされている | 手当・交通費・深夜等が消えている | 給与明細の内訳、社内ルール |
| 日割り・欠勤控除が不自然 | 計算が合わない | 勤怠、出勤記録、計算根拠 |
| 残業代が払われていない | 固定残業の名目でゼロ | 勤怠・業務ログ、指示記録 |
ポイント
まずは「感情」ではなく「分類」。分類できると、集める証拠と請求の言い方が一気に決まります。
未払い賃金で失敗する人の多くは、退職の前後を混ぜて動きます。
退職前:会社との連絡ルートが残っている。証拠の確保がしやすい。合意(支払日)を取れる可能性が高い。
退職後:会社の対応が雑になりやすい。だからこそ文章・期限・記録で詰める必要がある。
つまり、退職前にやれることは「先にやった方が得」です。
未払いで一番の資産は証拠です。ここを先に固めます。
最低限そろえる証拠セット
・雇用契約書(または労働条件通知書)
・給与明細(未払い月の前後も)
・勤怠記録(出退勤、残業、シフト)
・入金履歴(通帳/ネットバンクの明細)
・会社とのやり取り(メール/チャット/録音メモ)
社内システムしか見られないもの(勤怠や明細)は、退職後にアクセスできなくなることがあります。
だから、退職前に保存しておくのが現実的に強いです。
いきなり「払え!」だと相手が構えます。通すコツは順番です。
伝え方の型
1) 事実(何月分がいくら)
2) 不足(入金/明細と照合して不足)
3) お願い(確認と支払予定日の提示)
テンプレ(退職前・柔らかめ)
「○月分の給与について確認です。給与明細では支給総額が○円ですが、入金は○円でした(差額○円)。内訳の確認と、差額が未払いの場合は支払予定日をご教示ください。」
この時点では、相手に「確認の余地」を残すのがコツです。相手が言い逃れしにくい形になります。
未払いが認められたら、次はここが勝負です。
「そのうち払う」は、だいたい払われません。
取るべき合意
・支払金額(差額○円)
・支払日(○月○日まで)
・支払方法(振込)
合意は口頭ではなく、メール/チャットで残すのが強いです。
退職後は、やり取りの温度が下がります。だから、こちらが設計を変えます。
| 退職後の動き | やること | 狙い |
|---|---|---|
| 1 | 未払い内容を整理して文章で送る | 論点固定 |
| 2 | 支払期限を設定する | 先延ばしを止める |
| 3 | 返信がなければ再送(記録) | 無視対策 |
テンプレ(退職後・期限つき)
「○月分給与について、差額○円が未払いです。給与明細・入金履歴を照合し、内訳確認済みです。○月○日までに差額の支払い、または支払日を明記した回答をお願いします。」
ポイントは「期限」と「記録」。怒りは不要です。淡々と。
悪手3つ
・証拠を取らずに強い言葉で詰める(相手が防御に回る)
・口頭だけで交渉して終える(合意が残らない)
・退職後に「社内システムが見られない」状態で慌てる(証拠不足)
未払いは、強さよりも準備で勝ちます。
未払いの中でも、残業代は証拠と順番が少し違います。
次の記事で、残業代の未払いに特化して整理します。
未払い残業代を請求したい|証拠と順番だけ整理
未払いがある時|給与明細と勤怠の確保
自力 vs 退職代行|費用・手続き・揉めやすさを整理